2022年10月。
鳥取県が、ポップアートの巨匠・アンディ ウォーホルの『ブリロ ボックス』を購入したことが話題になりました。
現在建設中の新・鳥取県立美術館の目玉作品にする予定だとか。
一時期全国ニュースでも取り上げられたのですが、その後、地方ニュースでも話題を耳にしなくなりました。
果たして、ブリロボックス問題はどうなったのか…
ブリロボックス問題の経緯
事の発端は、2025年オープン予定の鳥取県立美術館の集客戦略の目玉作品として、鳥取県が約3億円を支出して、アンディ ウォーホル作の『ブリロボックス』と呼ばれる木製の立体アートを5つ購入したことです。
県民からは
「なぜ、こんな木箱に3億円!?」
「なぜ、同じ箱を5つも購入したのか?」
「価値が全然わからない」
といった疑問の声が上がってきました。
「価値がわからない」という声は感情論
正直なところ、「価値がわからない」とか「なぜ3億円も!?」という疑問は、感情論であって、それ以上でもそれ以下でもないと感じました。
もともと、美術品ってそういものです。
美術品にまったく興味のない人に、(換金できないことを前提に)マウリッツ・エッシャーの版画をプレゼントしても「へー、ありがとうございます」で終わりでしょう。
価値がわからない人にとっては、(換金できないのであれば)まさに無価値なものなのです。
「公費で購入することが問題なんだ」という意見もあるかもしれません。
ただ、それを言い出すと美術品の購入ってかなり不可能に近くなります。
万人に価値のわかる美術品って、そもそもあるのでしょうか。
なので、「価値がわからない」というのは疑問というより個人の感想かな?という感じです。
議会の手続を経ていない問題
ブリオボックス問題で最も気になったのが、議会の手続が経られていなかったという点。
ニュースによれば、鳥取県では、7000万円以上の動産を購入するときは議会に付さなければならないらしい(鳥取県条例第6号第3条)。
ブリオボックスの購入費用は2億9000万円以上。
なぜ、議会を経ることなくブリオボックスが購入できたのか?
実は、ブリオボックス1個当たりの金額はどれも7000万円を下回っていたようです。
なので、「ブリオボックス1個だと7000万円以上の動産に該当しない」ということだそうです。
いやいや…小学生の屁理屈か!?
一応、他にも理由があって、ブリオボックスの購入を検討していることが表面化すると、相場価格が上昇する可能性があったことも理由らしいです。
理由らしいのですが…
それって、そもそもそういうものでしょう…(;´・ω・)
もし、相場価格が上昇するならば、議会の承認を経て支出額を上乗せするなり、(計画の変更を含めて)正攻法のやり方があったと思います。
その後、ブリオボックス問題はどうなった?
ブリオボックスはカナダ国立美術館にも展示されているくらい有名な作品なので、金額の妥当性については僕は何ともいえません。
平井県知事は、「何だったら美術館に来場した人に投票してもらって是非を決めてもいい」という趣旨の発言をし、鳥取県教育委員会も正当性の主張を貫いたため、問題が立ち消えになった印象さえあります。
でも、小学生のような屁理屈は、そのまま通るのでしょうか?
それとも、こういう事態も想定して、何かしらの条例改正の動きがあるのでしょうか?
県議会の一般人としての感覚や、議会の動向が気になるところです。